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  • 執筆者の写真shunsuke masui

ゼロリスク

更新日:4月18日

転職の支援をしていると、異常なまでに細部にこだわる方がいます。内定獲得後、その会社へ入社するか判断するタイミングなら理解できるのですが、そのような方は、応募先を検討する段階から、細部の確認がはじまります。


例えば、独身寮の光熱費負担はいくらか、フレックスタイムの申請方法はメールか、など(実話です)。その質問が、転職理由と密接に関わっているならまだ理解できるのですが、転職理由は「成長できる環境でチャレンジしたい」だったりします。


このような方と話していて感じるのは、全て理解してからでないと一歩も踏み出せない、絶対に失敗したくないという思いの強さです。いわばゼロリスクを求める思考と言えます。


でも世の中にゼロリスクはありません。もしあったとすれば、それは、そう見えているだけか(錯覚)、騙されていると思った方がいいです。


あくまで個人的な見解ですが、パンデミック対応や、原発問題など、昨今の世論を二分する議論は、ゼロリスク思考の人たちがいるために、ややこしくなっていると感じます。


メディアがセンセーショナルに取り上げていないだけで、SNSで拡散していないだけで、我々の日常には常にリスクが存在しています。ただ科学的に、統計的に、合理的に考えて、日常生活を制限する必要がないと判断しているだけです。あるいはマスコミが報道しないから、リスクの存在を知らないだけです。


リスクがゼロにならない以上、大切なのはリスクとリターンのバランスです。本来リスクは避けるべきものではなく、コントロールすべきものなのです。


転職においても同じことが言えます。転職によって実現したいこと(やりがいある仕事、高年収、希望勤務地など)を得るためには、一定の不確実さを飲み込む必要があるのです。


何も浅慮・無謀に転職しろと言っている訳ではありません。必要な情報を集め、検討を重ねることはもちろん重要です。ただ、どこまで情報を集めても、リスクがゼロになることは絶対にないですよ、ということです。最後は、一歩踏み出す勇気があるかどうかの問題なのです。


つけ加えると、現職に留まることがゼロリスクか?という観点も重要です。現職の方が情報が多い分、不確実要素は少ないと思いますが、それがイコール、ゼロリスクではありません。転職を検討する際には、転職先のリスクとリターンだけでなく、現職に留まった場合のリスクとリターンについても考えてみることをお勧めします。


私たちは普段から人生全般において、リスクとリターンのバランスを考えていますよね。進学、就職、結婚、出産、自宅購入 等々。どれもリスク100%とか、リターン100%ではないことがわかると思います。転職も同じなのです。ゼロリスクはあり得ません。


さて改めて、リスクは避けるべきものではなく、コントロールすべきものです。こと転職においては、我々エージェントがリスクコントロールのお手伝いができます。皆さんには、是非我々を頼っていただき、勇気をもって転職活動に臨んでいただきたいと思っています。

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