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  • 執筆者の写真shunsuke masui

資格と実務経験

転職エージェントをしていると、業界内では常識なのに多くの求職者が誤解している、ということが時々あります。その一つとして、今日は「資格」の誤解について書きたいと思います。


結論から言うと、実は、転職において資格はあまり役に立ちません(一部を除き)。転職において、企業から評価されるのは「資格」ではなく「実務経験」だからです。


なぜか日本人は資格が大好きで、やたらと資格を取りたがります。資格学校の広告の影響か、転職に資格が役立つと信じている人たちが非常に多く、「資格がないので転職できません」や「転職したいので、まずは資格を取得します」という言葉もよく聞きます。


全ての資格が役に立たないという訳ではなく、薬剤師や看護師など、資格がなければそもそもその職務に就けない国家資格などは、当然ながら転職に役立ちます(というか資格がないと就業できません)。


しかし例えば、経理業務における簿記など、資格がなくても職務遂行が可能な職種においては、資格よりも実務経験の方が圧倒的に評価されるということです。


理由は、転職(キャリア採用)ではあくまで「職務遂行能力」そして「即戦力性」が問われるからです。資格は一定の知識があることは担保できますが、その職務の遂行能力は保証されません。一方、実務経験(職務経歴)はリアルに職務遂行能力が推し量れるためです。


よって、例えば簿記1級保有の経理未経験者よりも、資格のない経理実務経験5年の方の方が、キャリアマーケットでは断然需要が高いのです。


TOEICスコア800の実際には英語が話せない人材よりも、TOEICスコアはないけれど、実務で日常的に英語会議や英文契約書をチェックしていた人材の方が戦力になる、という例がより理解し易いかもしれません。


もちろん仮に実務経験を同様に積んだ方が2人いて、資格保有者とそうでない方であるケースでは、前者がより評価されるということはあります。ただその場合でも、資格の有無以上に、実務経験の内容・優劣で判断されるケースの方が多いのが実情です。


転職によって未経験職種にキャリアチェンジしたい、そのためにまずは資格を取得する、という方もいらっしゃいます。そのような場合でも、資格取得へ向けて努力するよりも、まずは現職で希望の職種に異動できるよう、会社に働きかけることが、実は最も近道です。


会社としては、たとえ資格を持っていても、実務経験がない上に人柄や能力も未知数の人材を社外から採用することに比べれば、人柄や汎用的な職務能力がわかり、カルチャーフィットしている社内の人材を異動させる方が、圧倒的にリスクが低いからです。


少し時間はかかりますが、まずは現職で希望職種の実務経験を積んで、その上で(必要があれば)同職種でキャリアアップの転職をする、というのが正解なのです。


余談ですが、転職ではなく就活においても、大学を卒業後、資格を取得するために専門学校に通う、英語を身につけるために語学留学する、というのは全くお勧めしません。


本当に優秀な人材は、在学時、あるいは働きながらでも、目指す資格の取得や高いTOEICスコア、語学力を獲得します。なので採用担当者からみると、単に社会に出る覚悟がなかった「ブランク期間」と判断される可能性が高いのです。


よって、仮に意中の会社に就職できなかったとしても、中小企業に入社してでも、実務経験を積む(そして転職を目指す)ことが、キャリアにとってはより有意義なのです。


資格業界がつくった(?)幻の「資格神話」に惑わされず、実務を通じてキャリアを磨く、という真っ当な考えが一般的になるよう、微力ながらも伝えていきたいと思います。

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